悲しかったけど、いい年の瀬になりました

M子の訃報がグルーブラインに流れてきた。突然の事に言葉を失う。T子に喪中はがきが届いたのだ。驚いたT子はM子の夫に連絡をしたそうだ。「どうして、病気のことを話してくれなかったのか」そういうT子に「M子らしいでしょ」そう話したらしい。

私はM子とそんなに親しいわけではないけれど、私の持っているM子の若い頃の写真の可愛い笑顔が、その話を聞いた時にふと浮かんだ。ニッといたずらっぽく笑うその顔はとても素敵だ。M子は、粋な人だったんだね。最後まで。

そんなM子に、私は最後にプレゼントを貰ったらしい。

訃報から一夜明けて、私はT子に会った。少し世間話をしたあとに「離婚したんだって?」T子はとても自然に聞いてきた。あまりに自然だったので、私は驚くことも焦ることもなく、平気なかおで言葉を返していた。

友達にいつ言おうかグズグズしていた。コロナで会うこともなくなった。きっかけを見つけそこねていた。

それでも友人たちは、うっかりと口を滑らせた私の母から、又は聞かれてもいないのに職場の知り合いに話していた元夫からの情報を地下水が流れるように静かに広めてきたようだ。

私はと言えば、T子から言われて実はホッとした。やっと話すことができた。T子は、水くさいのでこういうことは早く話すようにということを言っていた。

友達というのはこういうものなんだな。構えていたのは私だけだったのだ。

こういう機会を作ってくれたのもM子のおかげだね、とT子に言われた。

年の瀬にM子から、前に進めよと背中を押されたのだ。

ところで、うっかりと口を滑らせたらしい母に聞いても私は言ってないという。ただの物忘れとは思うが、えっ?じゃ誰?神?と思ってしまった。神みたいな何かが、「グズグズしてないで、さっさとね、さっさと」と業を煮やして広めてくれたのかもしれない。

そんなわけで、来年はいい年になりそうなわけで、ワクワクしながら新年を迎えよう。