行きたかった場所に行ってみた日

2月の三連休に挟まれた普通の土日は大人しく家で過ごしたり、近所を散歩したりしようと思っていた。

ところが、母に誘われ、少し遠出をしてランチすることになった。妹が出かけたので私達もと言うことらしい。

以前より気になっていた古民家カフェに行く。

店は大盛況で、空いているのはカウンターと玄関先の本棚の前。私はオムライス。母はひっつみとおにぎり。本好きのふたりは目の前の本棚に釘付けで、いつまでもいられそうだ。私の本好きは母の遺伝らしい。

その後、帰り道にふと思いつき、海の方へ足を伸ばした。10年以上前に行ったっきりの場所。

青く光る海はとても穏やかで、あの日黒い波が押し寄せたとはとても思えなかった。キラキラと光る海をいつまでも眺めた。そう言えばもうすぐあの日が来るのだな。駐車場は県内外の車でいっぱいだった。ほとんど近隣の県だからもちろんあの揺れを経験した人たちなんだろうな。嵩上げした土地の手前、海側は草原が広がったまま。それが物悲しかった。辛い記憶がこの土地にはまだ残っている。消えることはしばらくないのかもしれない。